毎日単語を覚え、長文を読み、リスニング教材を聞き流す。それなのに、模試のスコアは横ばい。ネイティブとの会話では、言いたいことの半分も言葉にならない。
英語学習において、そんな分厚い壁の前で立ち尽くすような気持ちになったことはありませんか?
しかし、もしその「停滞」が、英語で言うところの “failure”(完全な失敗)ではなく、もっと希望に満ちた言葉で表現できるとしたらどうでしょう。
その魔法の言葉が、今回ご紹介する “a setback” です。
このフレーズの真価を理解すれば、あなたの英語学習における「壁」は、乗り越えるべき「障害」から、次なる飛躍への「助走」に変わるはず。
“a setback” が持つ、絶妙なニュアンスとは?
今日のキーフレーズ、“a setback”。辞書を引くと「後退」「妨げ」といった意味が出てきます。
意味:
- 後退、とん挫
- 妨げとなるもの、障害
- 一時的な失敗
これだけ見ると、ネガティブな印象を受けるかもしれません。しかし、このフレーズの核心は、**「一時的な」**という点にあります。
‘The project suffered a major setback due to unexpected budget cuts.’ (予期せぬ予算削減により、プロジェクトは大きな後退を余儀なくされました。)
この例文でも、プロジェクトが「完全に中止になった(cancelled)」わけでも「失敗した(failed)」わけでもありません。あくまで「後ろに(back)置かれた(set)」だけで、計画を見直したり、困難を乗り越えたりすれば、再び前進できる可能性が色濃く残されています。
“failure” が「終点」なら、”a setback” は「一時停止」。このニュアンスの違いこそが、マインドセットを大きく変える鍵です。
なぜ英語学習に “setback” は必要なのか
英語学習の道のりは、一直線の右肩上がりではありません。むしろ、「踊り場」のある階段のようなものです。
- スコアの停滞: あれだけ勉強したのに、TOEFLのスコアが前回と変わらない。これは典型的な “setback” です。しかし、これは知識が脳内で整理され、定着している証拠。この期間に基礎を固めることで、次のステージで一気にスコアが伸びるのです。
- スピーキングの壁: オンライン英会話で言葉に詰まってしまった。これも “a setback”。でも、それはあなたが自分の表現力の限界に挑戦し、それを超えようとしているからこそ起こる「成長痛」なのです。
- モチベーションの低下: 周りの友人が流暢に話しているのを見て焦る。これもまた、一つの “setback” です。しかし、それはあなたが向上心を持っている証拠に他なりません。
私自身、TOEFLのスコアが1ヶ月で10点下がるという “major setback” を経験したことがあります。絶望的な気持ちになりましたが、そこで腐らずに「これは弱点を教えてくれるチャンスだ」と捉え直しました。結果、徹底的な自己分析を経て、翌月には20点アップという自己ベストを達成できたのです。
“setback” は、あなたを試す「障害」ではなく、進むべき道を照らす「道しるべ」なのです。
“setback” を乗り越え、チャンスに変える3つのステップ
では、具体的に “setback” という壁に直面したとき、どうすればそれを乗り越えられるのでしょうか。
- 事実を認める(Acknowledge the Setback) まずは、「今、自分は停滞期にいるな」と冷静に認めることが重要です。感情的に落ち込むのではなく、客観的に状況を把握しましょう。”Okay, I’ve hit a setback with my listening skills.” (よし、リスニングで壁にぶつかっているな。)
- 原因を分析する(Analyze the Cause) なぜこの “setback” が起きたのか?学習時間が足りないのか、方法が間違っているのか、それとも単なるスランプなのか。原因を分析することで、具体的な対策が見えてきます。”Maybe I should focus more on dictation rather than just listening.” (ただ聞き流すんじゃなくて、ディクテーションにもっと集中すべきかもしれない。)
- 計画を再設定する(Reset Your Plan) 分析に基づいて、新しい計画を立てます。大きな目標ではなく、ベイビーステップで構いません。小さな成功体験を積み重ねることが、自信を取り戻す一番の近道です。”My new plan is to dictate one short news article every day. This setback won’t stop me.” (新しい計画は、毎日短いニュースを1本ディクテーションすること。この後退が私を止めることはない。)
このプロセス自体が、あなたの英語力を論理的思考力と共に飛躍的に向上させます。
その壁は、あなたを強くする
今回は、英語学習の壁に直面したときに知っておきたい魔法のフレーズ “a setback” をご紹介しました。
- “a setback” は「一時的な後退」であり、乗り越えられる困難を指すポジティブなニュアンスを持つ。
- 英語学習における停滞期(setback)は、失敗ではなく、次なる飛躍への準備期間である。
- “setback” を認め、分析し、計画を再設定することで、壁を成長のチャンスに変えることができる。
- このフレーズは、ビジネスや日常会話でも使える、非常に洗練された表現である。
もし今分厚い壁の前で立ち尽くしているのなら、ぜひこの言葉を思い出してください。
“This is just a setback, not a failure.”
その壁は、あなたを打ちのめすためにあるのではありません。もっと強く、もっと高い場所へ導くために存在してます。
まずは今日の学習手帳に、こう記してみませんか? “I had a small setback today, but I’ll overcome it.” その一文が、輝かしい未来への第一歩となるはずです。





